お兄ちゃんが倒れて9ヵ月もの月日が過ぎてしまった頃、
「起立性調整障害」と診断。
それと「摂食障害」が重なり、155.6cm/34.3kgまで痩せてしまったお兄ちゃんは、即入院が必要な状態でした。
点滴で早急に栄養を補給し血液を増やしていかないといけない為、通常の静脈点滴ではなく、カテーテルを入れて心臓近くにある太い静脈に直接栄養を送る方法(中心静脈栄養)で行うとの説明でした。
その為にも入院は必要で、一ヶ月近く寝たきりで上記栄養補給をし、その後経口栄養が摂れて元の生活に戻れるようになるには、数か月はかかるだろうとのことでした。
中心静脈栄養の説明を受け、入院を勧められた時、正直私としてはホッとすると同時に一気に肩の荷が下りたような安堵の気持ちでした。
「これでやっとプロに任せられる」
「やっと治療してもらえる所が見つかった」
と。
中心静脈栄養のメリット
- 消化管を利用せず、水分、栄養などを補給できる
- 末梢静脈栄養ではできない高カロリーの点滴もでき、確実に栄養を摂取できる
- 長期的に利用することができる
中心静脈栄養のデメリット
- カテーテル挿入部から感染を起こすことがある
- カテーテルの屈曲によって詰まることがある
- 消化管機能が低下する恐れがある
- 事前に外科的な処置や手術を行う必要がある
- 合併症に注意が必要
入院の為の条件
しかし、私の喜びと裏腹に、お兄ちゃんは入院を断固拒否。
その嫌がる様子を見て、心療内科の先生から入院の為の条件が出されました。
「年明けて学校に行けなかったら入院」(診察時は12月)
「この状態で一ヶ月も先延ばし?」
「そんな事していたら取り返しのつかない事になってしまう」
私としては、一刻も早く入院させて治療を開始してほしかった。
けど、
「どんなに親に懇願されても、子供の意思がなかったら入院はさせない」
という方針らしく、医師も固くなに入院拒否。
メトリジンと、高濃度のエンシュアを処方され、
そこから更に一ヶ月先延ばし。。。
この時の落胆した気持ちは言葉では言い表す事ができません。
拒食症の子を抱えての一ヶ月は通常のそれとは比べ物にならないくらい、想像を絶するほどの長い長い時間の流れでした。
入院の条件を打破してしまったお兄ちゃん
そこからお兄ちゃんの必死の努力が始まりました。
今まで嫌がっていたエンシュアを頑張って飲み、食事も無理に摂るようになり、入院したくないアピール全開。
けど、私達親をはじめ、ずっと心配しているおじいちゃん、おばあちゃんも、学校の先生も、周りの皆が入院を勧め、「早く体を治す事が先決」と話して聞かせますが、本人の意思は固く「絶対に入院なんかしない」と。
お兄ちゃんが入院を断固拒否していたのには理由があって、知り合いの子が同じ病院の児童精神科に入院した時の話しを聞いていた事がありました。
窓のない部屋に隔離された上に母との連絡も断絶された状態で、何ヶ月も入院していた話を聞いていたので、お兄ちゃんにしてみたら入院は恐怖の監獄のイメージしかなかったのだと思います。
その不安も理解出来るので、入院した時の事を医師に確認しようとしましたが、その医師は親である私が質問をしたり答えたりするのを極端に嫌がり、答えてはくれませんでした。
そして・・年明けてお兄ちゃんは車椅子で登校したのでした。
結局入院は絶望的に
一ヶ月前の医師との約束で、「学校に行けなかったら入院」。
この約束をひっくり返してしまったお兄ちゃん。
親としても「学校に行く」というのを「入院させたいから行くな」と止めるのも違うと思い、行かせてしまったのですが、
心療小児科の深井医師の反応は驚くセリフが返ってきたのでした。
「入院しくたないから学校に行っただけだよね?」
「学校に行きたくて行ったわけじゃないよね?」
「そんなに入院したくないなら入院しなくていい」と。
心療小児科の深井医師は、このセリフを突きつけ、その後、本人(お兄ちゃん)がどんなに懇願しても、入院をさせてもらう事は出来ませんでした。
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