子供が起立性調節障害になって、寝たきりになり、学校に行けなくなって平気な親なんてどこにも居ないと思います。
私も最初の頃は泣いてばかりいました。
歩いていても、お料理をしていても、寝ていても、悲しみと不安と絶望でいっぱいになっていつの間にか涙がこぼれてしまう。そんな状態でした。
子供が生まれてから、子供達の成長を楽しみに生きてきて、「歩けるようになった!」「寝返りが出来るようになった!」「お絵描きが上手になった!」「運動会でリレー選手に選ばれた!」「サッカーでドリブルが上手になった!」等々、一つ一つの成長に喜び、子供の笑顔を支えに頑張ってきたのですから当然ですよね。
それが今は、学校に行けなくても、スポーツが出来なくなっても、勉強が出来なくなっても、「元気でいてくれたらそれで充分」と心から思えるようになったのですから、自分でも不思議な感じです。
子供達が生まれてきた時の気持ち。そう、初心に返った感じです。
何故、そう思えるようになったのか
「我が子が死んでしまうかもしれない」という恐怖と絶望を味わったから
もう一つは、
起立性調節障害を乗り越え元気になった先輩ODママの話を聞く事が出来たから
この二つです。
絶望で全ての欲を切捨て、希望で"1"でも喜べるようになりました。
お兄ちゃんが起立性調節障害と診断されるまで、9ヵ月という長い月日がかかってしまい、その間ずっと熱が下がらない状態が続きました。
拒食症にもなってしまい、ガリガリにやせ細っていく我が子を抱えて、病院巡りの日々。その間、いろいろな診断名が付き、薬を飲んだり、漢方を飲んだり、サプリを飲んだり、いろんな事を試してきましたが、症状は悪化するばかり。
苺一粒を食べるのもやっと、お水を飲むのも苦しいと言うようになり、日に日に弱っていく我が子を見ていて「このままでは死んでしまう」という恐怖でしかありませんでした。
そんな状態まで行ってしまうと、最初の頃気にしていた学校に行けなくなった事なんてどうでもいい。「とにかく生きていてほしい」と願うばかり。
その時に全ての欲という欲をそぎ落とされ、今まで気にしていた事など、なんて小さな事だったのだろうと思えるようになりました。
我が家のお兄ちゃんのように重症じゃなくても、起立性調節障害は必ず良くなる病気です。特効薬もない事からいつ治るのか不安になると思いますが、今出来なかった事は起き上がれるようになった時にやれば大丈夫!現にここまで重症だったお兄ちゃんは今元気に高校生活を満喫しています。
共感し合える仲間との出会い
二つ目の先輩ODママの話を聞けたのは、起立性調節障害の親の会との出会いです。
お兄ちゃんが起立性調節障害と診断されるまで聞いた事もなかった病名で、周りに相談できる相手も居なく、この先どうなるのか、いつ頃良くなるのか、朝は起こした方がいいのか、毎日どうやって過ごしているのか、わからない事だらけでネットサーフィンをし続ける日々でした。
そんな時に、たまたま見つけたのが"起立性調節障害の親の会"。そこには、同じ境遇で苦しんでいる親御さん達が居て、初めてそこに参加させて頂いた時は、話を聞いてもらっても涙、他の方の話を聞いても涙、とにかく共感してもらえることが嬉しくて、泣いてばかりでした。
共感してもらえるだけで心がこんなにも楽になれるなんて知らなかった。
お兄ちゃんが倒れてからずっと孤独な闘いだったので、同じ苦しみを持つお仲間に出会えた事は本当に大きな心の支えになりました。
親である私でさえ、共感してもらえるだけでこんなにも心が楽になれるのですから、当事者であるお兄ちゃんはどれほど辛かったかという事もよくわかりました。
何が正しいのか、どう接したらいいのか、わからない事だらけだったのが、OD先輩ママのお話を聞かせて頂いたお陰で、心から納得して行動できるようになりました。
起立性調節障害の親の会から帰ってすぐ、まずはお兄ちゃんに謝りました。
今まで本当の意味で理解してあげられていなかった事、
その為に、苦しませていた事を謝りました。
私達親から焦りが消え変われる事で、唯一の居場所である自宅が、ODっ子にとっての安らぎの場所になれるのが一番だと思います。
子供達は私が起立性調節障害の親の会に行ってくると優しくなると言います。
参加する度に、気持ちがリセットされて「私が一番の理解していてあげなきゃ」という気持ちになるからでしょうか。
起立性調節障害の親の会は、調べてみると各地で開催されています。
同じ地域の病院の情報、学校、整体や鍼、通信制高校の情報など、地元の情報交換が出来るので病院のカウンセリングより沢山の情報を得る事が出来ました。
今まさに苦しんでいる子の親同士なら、「うちも同じだよ」と言い合える事、少し先の学年のママからは、どんな経過を辿ってきたかの話し。もっと上の学年の子のママからは克服した後の過ごし方についてなど、いろんな方の話しが聞ける事が私にとっての唯一の支えでした。
自分の話をする余裕がない場合は、ただ話を聞いて帰って来るだけでもいいと思います。
今まさに、起立性調節障害で苦しんでいる子供達、そしてそれを支えているママやパパ達が少しで希望を持てるようになれたらと心から願います。