私達親子は東京在住なので、病院の数も多く病院選びで困った事はなかったのですが、起立性調節障害の専門医は少ない上にどこも予約でいっぱい。
起立性調節障害の親の会でも、みんな病院選びに苦戦している状態です。
最終的には、起立性調節障害の特効薬がない事などで病院探しを諦め、サプリや整体・鍼・栄養療法に移っていったわけですが、なんせ今まで起立性調節障害という病名すら知らなかったのですから、最初は皆「起立性調節障害 病院」というキーワードで病院探しに必死です。
我が家のお兄ちゃんの場合、拒食症も加わり寝たきり・歩行困難・車椅子生活。夕方や夜に元気になるという事もなく、かなり重症な状態だったので、脳血流低下型を疑い検査してくれる病院を探していました。
起立性調節障害Support Groupに掲載されている内容を見ると、
5番目は、脳血流低下型(起立性脳循環不全型)です。
これは、起立中の血圧心拍変動は正常内ですが、起立中に脳血流が低下して、それに伴う様々なOD症状が出現します。診断には、脳循環を測定できる特殊な装置(たとえば近赤外線分光計(near-infraned spectrocopy;NIRS)を必要とするため、一部の医療機関でしか診断できません。診断基準も国際学術誌に発表されています。
引用: 起立性調節障害Support Group HP
そこで見つけたのが、大阪のOD低血糖クリニック〇中。
起立性調節障害の本を沢山執筆されている有名な先生のクリニックでした。
当クリニックで行っている最新の検査による正しい診断方法を紹介します。
非侵襲的連続血圧測定装置(フィノメーター)と近赤外分光計(NIRO)を用いて、起立時の血圧、脈拍、脳血流等の変化を正確に評価し、重症度を決定します。
引用: OD低血圧クリニック〇中 HP
東京からわざわざ大阪まで行くという躊躇いよりも、「今苦しんでいる子供達の体に何が起きているのか、きちんと知りたい」という気持ちの方が強かったです。
新規予約が半年待ちでしたが、そこまで良くなっていればそれはそれでいいので、ひとまず予約。
ちなみに、同じ機械を持っている東京の病院は予約がパンパンで新規受け入れ不可になっている状況でした。
結果として半年後にも体調は変わらず、大阪のOD低血糖クリニック〇中を受診する事になりました。
いざ大阪へ
午前中の予約だったので、前の日に一泊しての受診。
平日の予約なので父親は不在。車椅子のお兄ちゃんを、同じODっ子として体調の悪い弟くんが押して行ってくれました。バリアフリーになってない場所も多く、車椅子を担いで階段を上ってくれたりと、かなり頑張ってサポートしてくれたと思います。いつもながら泣きたくなるほどの兄弟愛です。
新しい病院に行く時にはいつもそうですが、「この先生との出会いで良くなってくれたらいいな」という期待値が大。
そして待ちに待った先生とのご対面。
・・と思いきや、私は個室に通されて"起立性調節障害とは何ぞや"というビデオを見させられました。先生の著書も何冊も読んでいるし、とても初歩的なわかりきった内容で退屈な時間。
その間、お兄ちゃんの検査と診察。弟くんの診察。
それぞれ個々に診察してもらって、最後に母の診察。
この時の血圧や脈は規定範囲内で、診断は・・・
は? ( ゚Д゚)
人生うん十年生きてきて、この時ほど固まった事はありませんでした。
との説明。
そりゃ、車椅子生活だから運動不足に間違いはないけれど・・・( 一一)
それに、お昼近い診察時間で散々大阪市内を走り回って来た後だから、起立性調節障害としての正しい診断に値するのかどうか・・それは先生が一番ご存知のはず。起立性調節障害じゃないと言うのなら、どうしてこんなに体を起こすのが辛い状況が続いているのか、教えて欲しかったです。
心配していた「脳血流低下症」は、問題ありませんでした。
良かった!この結果には心底安心しました。
脳血流低下症ならどんな折れ線グラフになるかを見せてくれて、「こんな風になるとなかなか治らないけれど、違ってて良かったね」との事。
私の周りに、実際に「脳血流低下症」と診断されたお子様が居たので、「治らないんですか?」と聞き返すと、「難しいね」との回答でした。(※下記追記)
弟はカウンセリングだけでしたが、2人に共通して言われたのは、「学校がストレスなんだよね」って事。
いや、それだけは断じて違う!と母は心の中で叫びました。
お兄ちゃんは確かに社交的ではないけれど、中学に行くのをめちゃめちゃ楽しみにしていて、新調した学ランを着て「お墓参りに行こうかな」と言っていたくらい。
弟くんに関しては、小さい頃から面談の時に「弟くんはいっつも楽しそうです」「何かお聞きになりたい事はありますか?」と先生に聞かれるも、何も相談する事がなく、雑談して帰って来るのが常でした。
それくらい、お友達大好き!先生大好き!幼稚園大好き!学校大好き!給食大好き!体育大好き!で、揉め事一つなく、いつもニコニコしている子でした。
その兄弟が学校がストレス!? この診断は本当に違和感しかありませんでした。
〇中先生は、私を傷つけないようにか、
こだわりがあってマイペースってだけで、そんな風に決めつけられるものなのでしょうか・・・
起立性調節障害と診断されるまでには、理解されていないお医者様に傷付けられる事は沢山あったけれど、まさか専門医である〇中先生にまでこんな風に軽く言われるなんて驚きというよりは、拍子抜けしてしまいました。
あと言われた事は、
意味がわからず、、、、、聞き返すと、
という事でした。
良かった!これには安堵。
そこから後は、今まで同じ事を100万回説明してきたと思われる「起立性調節障害についての注意事項」をめっちゃ早口で言ってくるので、質問する隙がありませんでした。性格も体格も正反対の兄弟それぞれに対してのアドバイスが欲しかったのですが・・・
大阪まで来た甲斐なかったな・・
と、とても残念な気持ちで病院を後にしました。
病院を出てから子供達に診察の内容を聞いても、「先生が早口でずっと喋ってた」と、私と同じ印象。
「もう来なくていいよね」との一言。
けど、「脳血流低下症」を心配していた事を思い出し、「脳血流低下症」ではなかったと分かっただけ良かった!と思う事にしました。
病院を出てすぐに脳髄液減少症の検査が必要か否か聞き忘れてたと思い出して戻りましたが(事前に問診票には書いていました)、既に先生は居なくて聞く事は出来ませんでした。お昼休みに用事があったから、あんなに急いた診察になったのかな・・せっかく東京から来たのに? ってなんだか切ない気持ちでいっぱい。
最後に・・母の願い
記事の途中にあった「脳血流低下症」の知り合いのお子様は、うちの長男くんと同じように寝たきりの期間が長かったですが、今は海外留学に行くまでに回復されています。
これはずっと思っている事ですが、起立性調節障害という病気は、到底サブタイトルに収めきれるものではないと思います。もっと、個々にその人の体質や性格をリサーチして、そもそもの原因を見極めてくれるお医者様が必要と強く強く思います。
素人の母が手探りで試しながら子供の治療法を見つけていくのではなく、きちんと体質を見極めて対処してくれるお医者様がいてくれたら、心身共にどれだけ救われるか。ODから鬱に移行していまうのもかなりの確率で防げるのではないかと思います。
早く、そんな世の中になって欲しい。
正直、この記事を書く事は勇気がいりました。起立性調節障害の専門医として、あまりにも有名な先生だから。その先生に対してマイナスの事を書く事で、気に入って通っている患者さん、著作関係者、病院関係者、NPO法人の方々、様々な方から避難の声が上がる事と思います。
けど、これは紛れもない1 個人が感じた感想です。レビュー操作されてしまう昨今、本当に困っている起立性調節障害の親子の方々のお役に立てられる事だけを願って書きました。