下記の本に、不登校になった子どもが、登校してもよい条件というのが書かれていました。
学校を捨ててみよう!-子どもの脳は疲れはてている-
熊本大学医学部教授 三池輝久
子どもが不登校になった時に、脳がどのような状態になっているのか、脳科学の面から具体的に説明してくださっています。
"不登校は心理的な葛藤ではなく病気です。ホルモンバランスが崩れ、免疫機能が低下しています。身体からエネルギーが枯渇しているので学校に行けないのです。本人の努力とか気合いという問題ではありません。
子どもが疲れているのは、強制的に協調性を押しつける学校の責任です。人格を持つ一人の人間として子どもと向き合わないせいです。学校に行く必要はありません。ゆっくり休んで、まず身体を治しましょう。" (本書より引用)
以下、あくまで我が家の場合の事例です。不登校から復学までに至るストーリーは、100人いたら100通りあると思いますので、参考までにご覧になってくださいね。
登校してもよい条件
「学校を捨ててみよう」の本に掲載されている、"登校してもよい条件"とは、
登校刺激は本人も学校復帰を望み、身体的にも健康状態を取り戻したときにおいて他ならない。ただし、登校刺激を可能とするには次のような条件が必要である。
- 日常生活のリズムが戻っており一日を過ごすエネルギーがある
- 授業に参加できる学力が備わっている
- 対人関係に自信がもてる状態となっている
医学的には深部体温の調節機能が正常化していること。深部体温が十分に回復していない場合は、いったん登校が可能になったとしても、再発する可能性がある。
と書かれています。
ちなみに、我が家の兄弟たちは、上記三つとも整っていない状態での復学でした
慢性疲労症候群の診断基準になっている、疲労・倦怠の度合いと照らし合わせてみると、
以下、旧厚生省 慢性疲労症候群診断基準(試案)より抜粋
0: 倦怠感がなく平常の生活ができ、制限を受けることなく行動できる。
1: 通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 倦怠感を感ずるときがしばしばある。
2: 通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 全身倦怠の為、しばしば休息が必要である。
3: 全身倦怠の為、月に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
4: 全身倦怠の為、週に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
5: 通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、 週のうち数日は自宅にて休息が必要である。
6: 調子のよい日は軽作業は可能であるが、 週のうち50%以上は自宅にて休息している。
7: 身の回りのことはでき、介助も不要ではあるが、 通常の社会生活や軽作業は不可能である。
8: 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、 日中の50%以上は就床している。
9: 身の回りのことはできず、常に介助がいり、 終日就床を必要としている。
お兄ちゃんが復学した時は車椅子状態だったので、
8: 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、 日中の50%以上は就床している。
弟くんが復学した時は、
6: 調子のよい日は軽作業は可能であるが、 週のうち50%以上は自宅にて休息している。
とても理想的とはいえない状態での復学でした。
けど2人共、自分で「春から学校にいく」と決め、ここから信じられないくらい脅威の回復力で克服までたどり着く事が出来たのです
脅威の回復力を果たせたわけ
お兄ちゃんの場合、日常生活もままならない状態で、高次脳機能障害かもしれないと思うほど、反応が鈍く思考力が止まっているような状態、弟くんはそこまでじゃないにしても、怠さがずっと抜けずにいたので、勉強なんてする気にもなれない、そんな状態でした。
そんな2人が、どうして復学する事が出来たのか?
素人母の勝手な推測ですが・・・
- このままで終わりたくないという強い気持ち
- 今からでも高校受験を挽回できるという可能性を教えてもらえたこと
- 体に合った栄養療法に辿り着いたこと
- 充分な休息が出来て心は元気になれていたこと
ベースになっている栄養療法については下記にまとめてあります。
-
起立性調節障害[OD]が劇的に回復した訳
お兄ちゃん高3、弟くん中3。(2021.6現在) 今年の春から劇的に体調が良くなってきた2人。 その ...
体がちょうど回復期にあったんじゃない?
という見方もあるかもしれませんが、上記4つのどれが欠けても回復には繋がらなかったように思います。
栄養療法に出会えたのが一番大きいと思いますが、1.の「以前の生活を取り戻したい」という強い気持ち、2.の「まだ挽回できる」という希望が持てた事は、とても大きな原動力になっていました。
"気持ちが体を引っ張ってくれた" そんな気がしています。
勿論、学校に戻る事だけが正しい訳ではないですし、今まで王道と思っていた道以外にも、その子だけの道があると思っています。
我が子達は、たまたま "もといた場所に戻りたかった" という思いが強かった為に、復学できた喜びがパワーになって、さらには受験という目標を持てた事も力になって体調を引き上げてくれたように思います。
お兄ちゃんに希望を与えてくれた塾長の言葉は一生忘れる事が出来ません。
寝たきりになって、杖をつかないと歩けない状態になってしまったお兄ちゃんは、絶望を味わい、半ば諦めの中で模索していたのだと思います。
そんな中で思いがけず生まれた希望
これが凄いパワーになっていたのは、近くで見ていても明らかでした。
希望が持てるって、凄いパワーですよね。体中の細胞が目覚める感じがします。
この時の経験があったからこそ、弟くんの時には、私も迷わず行動出来たように思います。
まとめ
起立性調節障害や小児慢性疲労症候群と診断され、不登校になってしまった子ども達の中には、学校大好きで部活動も積極的にやっていたような子たちが、ある日突然倒れて動けなくなったという話し、沢山見聞きしてきました。
我が家の場合も、2人共楽しく通っていた方でしたが、起立性調節障害という病名の認識が低いが為に、不登校=精神的な理由と見られる事が多かったです。
医者や学校の先生でさえも、正しい認識で見てくれる人が少ないくらいですから、起立性調節障害なんて聞いた事もないクラスメイトや、その保護者にいたっては余計に知る由もありませんよね。
不登校=学校が苦手で行けない。単純にそう感じている人が多いのを肌で感じてきた数年間でした。きっと、それは子供達も感じていたと思います。
なので、余計に学校に通えない自分に自己肯定感が低くなってしまっていたと思います。
学校に行きたいのに行けない苦しみを抱えながら、周りの友達が元気に登校している姿を見ている事はどれほど辛かった事か・・・しかも数年間もそんな状況を強いられたら、明るい未来なんて考えられなくなってしまうのもわかります。
当たり前だった普通の生活がどれほど幸せだった事か、その普通の生活をしている周りの子達がキラキラ輝いて見えてしまうほど、その普通が羨ましくありました。
そんな気持ちからか、お兄ちゃんも弟くんも無理に登校してた時がありましたが、体調悪すぎて再び寝込む事になってしまいました。その頃はまだ栄養療法に出会えてなかった時なので、気力だけではどうしようもなかったのだと、今はわかります。
理想的なのは、成長期に必要なミネラルやタンパク質をしっかり補給した上で、学校や勉強というワードから完全に開放してあげて、寝たいだけ寝かせて、ゆっくりと休息させてあげる事。こういった充電期間は必要不可欠だったと思います。
最初からこんな風に対処出来ていれば、もっと早く2人が元気になれたのに・・・と悔やまれてしまいますが、再発してしまった時と、今回克服できた時の違いは、やはり栄養療法で体調の底上げが出来ていた事なのだと思います。一見同じように"体調悪い"という状態に見えても、ある程度身体が整い始めていた所に、「希望」という最高のエネルギーが注ぎ込まれて、乗り切れたのかもしれません。
この希望は、学校に戻る事だけじゃなくて、その子の好きな事ならなんでもいいと思います。絵が好きな子、ピアノが得意な子、ゲームが好きな子、本が好きな子、お料理が得意な子、その"好き"が広がる世界が見つけられたら、絶対に大きな力になって回復を助けてくれると思います。
何が正解というのは人それぞれ。不調になった原因が十人十色それぞれ違うように、克服までの道のりも同じではないと思いますので、焦らずその子のペースで、その子だけの道を見つけてあげられたら一番ですよね。
子どもたちに生きる力がなければ学習など手につくはずがない。生きる力と学力は同一線上にあり、密接に関連しているのである。そして、その子どもたちの生きる力は、自己肯定感のなかから生まれる。
「学校を捨ててみよう」より抜粋
栄養は何より大事だけど、希望を持つ事で生まれる、「俺(私)、まだいける!」という気持ちが自己肯定感に繋がり、凄いパワーなってくれるはず