起立性調節障害を克服し、奇跡的に全日制の高校に入学したお兄ちゃんでしたが、通いきれるのか・・無理してまたダウンしてしまうのではないか・・と、ヒヤヒヤした気持ちでのスタート。
高校入学の半年前まで車椅子生活だったお兄ちゃん、その後トレッキングポールで体を支えながら登校した中三の半年間でした。
そんなお兄ちゃんが、高1をどんな風に過ごしていたのか、その時の様子をまとめてみたいと思います。
通学
お兄ちゃんが入学した高校は、自転車で20分でいける場所にあります。
普通の子なら楽勝の距離ですが、お兄ちゃんは高校入学前にやっと自転車に乗れるようになったので、基本的には自転車でしたが、無理せず体調悪い時や雨の日は車で送迎でした。
・・と、このセリフを何回言った事か・・
この高校に決める前は、通信や定時制などの評判を調べて、沢山の学校見学に行き、"楽しそう"とか、"学校のカリキュラム"とかを見て、お兄ちゃんと楽しく学校選びをしていたのですが、
今改めて思うのは、学校はとにかく近い所が一番!体力のないODっ子にとっては、これが何より大事。
とくに、乗り物に酔いやすいODっ子にとって電車やバスに乗っての登校って、かなりハードルが高い事ですよね。とにかく近い所で肌に合う学校を見つけられるの事が一番だと思いました。
出席日数
欠席は数日でしたが、遅刻早退は15回くらいあったかな。
けど、そもそもが全日制の高校を通いきれるかの心配をしていたくらいなので、この日数で済んだのは万々歳
高1の時の体調は、まだ6割くらいの感じからのスタートだったので、5階建ての5階の教室への階段の上り下りはかなり辛かったみたいです。
起立性調節障害という事は担任の先生には伝えてあったので、エレベーターに乗る事を許可してもらっていたのですが、起立性調節障害だった事を隠したいお兄ちゃんはヘルプマークもつけず、頑張って毎日5階の教室までの階段を上り下りしていました。
新しい環境では新しい自分に生まれ変わりたいという気持ちも理解出来るので、お兄ちゃんが過去の自分を隠したい気持ちもわかるのですが、無理している様子を見ているのはヒヤヒヤものでした。
勉強
基本的に毎日学校に行くだけで精一杯なので、塾に行く余裕なんてあるはずもありません。それを自覚していたお兄ちゃんは、勉強は授業中に覚えるという事を実践するようになりました。
その結果、世界史と現代国語は学年1位を取ってくるように。
中1、中2と2年間寝たきりで全く勉強していなかったのに、それ以外の教科もある程度の順位をキープしているなんて・・・
オーソモレキュラー療法(栄養分子療法)で有名な、藤川徳美先生が仰っているように、「食とサプリで偏差値アップ」というのは本当なんだなぁと改めて思い知らされました。
その頑張りの反動で、夜はめちゃめちゃ早く寝てしまいます。
夕飯を食べて8時くらいには寝てしまう生活なので、家ではほとんど勉強していません。
テストの時は、わからない事を教えてもらう為に、放課後に先生をつかまえて勉強してから帰ってきていました。
プレゼン能力の開花
もう一つ、お兄ちゃんが激変して驚いているのがプレゼン能力の開花。
ODになる前までは、自分から前に出るタイプではなく、出来るだけ目立たない役どころにおさまっているタイプでした。
それが、今のお兄ちゃんは何百人の生徒の前で壇上に立ち、プレゼンするのが気持ちよく感じるようになったなんて、まるで別人のような変わりよう。
手元の資料など見ずに、アメリカ人のプレゼンのような感じ?に、自分の言葉で堂々と話しているその姿は本当に我が子?と目を疑う光景でした。
自信を持てるようになると、人ってこんなにも変われるもの
体育
高校入学直前まで自転車に乗れないほど体力筋力共に落ちていたので、体育もずっと見学でした。
冬らしい季節になってきた二学期の終わり、高校で長距離走のイベントがあり、お兄ちゃんはその日も見学の準備をして出かけて行ったのですが・・・
と言って帰ってきたのです。
と。
長い間歩く事もままならない状態だったのに、いきなり9キロ走ったの???
本当にお兄ちゃんには驚かされる事ばかり。
この後二週間は体中シップだらけ、膝痛でサポーターが外せない状態でしたが、久しぶりに達成感を感じられて嬉しそう。
という事で、高1の三学期からお兄ちゃんは体育に復帰しました。
中学入学後すぐに倒れてしまったので、小学校卒業から約4年ぶりの体育。
高校なので授業参観などなく、見学に行く機会もないのですが、体育をしているお兄ちゃんの姿をのぞき見したいくらい。
お兄ちゃんが着実に元気になっていく様子がとにかく嬉しかったです。
このモチベーションはどこから?
お兄ちゃんは元々勉強が好きだった子でも、特に勉強が出来る子だったわけでもありませんでした。宿題なんてやっつけ仕事的な、ごく普通の男の子。
それが、お兄ちゃん自身が「俺、頭良くなった気がする」と言うくらいの変貌ぶり
お兄ちゃんが高校に入って勉強を頑張るようになったそのモチベーションは?
それは、あの地獄のような寝たきりの2年間があったからと言います。
脳血流低下症を疑うくらい頭が働かなくて、勉強どころか日常生活をも支障をきたし、体を起こす事も辛くて寝込んでいた日々があったから。
そんな中でお兄ちゃんが出会ったのがこの一冊。
お兄ちゃんはこの本を何ヶ月もかかって読んでいました。
というような状態だったので、頭に入っているようには見えなかったのですが、この本がお兄ちゃんを救ってくれた一冊となったように思います。
他人と比較する事なんてない。自分は自分のままでいい
こうして言葉にすると当たり前の事過ぎてピンとこないかもしれませんが、寝たきりで自己肯定感がどん底に落ちていたお兄ちゃんの心には救いの言葉だったのかもしれません。
タイトルだけを見ると他人にどう思われようが自分の道を突き進め!みたいに物凄く前向きな話かと思う人は多いと思いますが、本編では「あなたを嫌うかどうかはあなたの問題ではなく他人の問題である」というように述べられており、その後には「だからあなたにはどうすることも出来ない。他人に自分の評価を変えるよう働きかけるのは間違ったアプローチ」という内容が続くので嫌われる勇気というよりも「他人に嫌われないようにしようなんて無駄な事は辞めなさい」みたいなニュアンスです。
この考え方は今現在鬱や引きこもりで悩んでる人には劇薬。
引用:Amazonレビュー
起立性調節障害と診断される時に、「うつ病」と診断を分ける為に心理テストらしきものを書かされた事が何回かありました。そこには「死にたいと思った事があるか?」という項目があり、お兄ちゃんはいつも"No"と答えているのを横目で見てホッとしていたものです。
寝たきりの状態でも「俺はこんな所で終わりたくない」と言っていたお兄ちゃん。
今の勉強のモチベーションは、この寝たきりの2年間があったからこその底力じゃないかと思っています。
過ぎたから言える事かもしれませんが、、、
人生に無駄な事も損なこともありません。全ての経験があなたの中に積み重なっていくんです。 引用 : 斎藤茂太医師
きっと、苦しかった日々がお兄ちゃんの人生の糧となって、これから先の時間を豊にしてくれるのではないかと、そんな風に願っています。